My research focused on
高脂肪食負荷による腸管バリア機能の低下は血中エンドトキシンを増加させ慢性炎症を惹起しインスリン抵抗性やNASHの発症に関与することが注目されています。乳酸菌のNASH進展抑制効果について腸管機能や免疫応答への作用に着目し検討しています。
リノール酸を主成分とする食用油(いわゆるサラダ油)を揚げ物調理中に加熱すると、酸化力が強いヒドロキシノネナール(HNE)という過酸化脂質が生じる。同様に、細胞膜に取り込まれたリノール酸も種々の酸化刺激で変性し、体内でHNEを作る。したがって、HNEの血中濃度は加齢と共に漸増し、ことに50歳以降になると急増する。
HNEは血管プラークやアミロイドβに集簇し周辺に拡散するが、アルツハイマー剖検脳においても残存濃度が高い。サル脳を用いた申請者らの研究では、HNEはリソソーム膜を安定化する熱ショック蛋白Hsp70.1のカルボニル化をもたらし、Hsp70.1はカルパインによって切断され易くなる。その結果、リソソーム膜の透過性が亢進しカテプシンが漏出することが神経細胞死を惹起する。HNEは中・長鎖脂肪酸の受容体であるGPR40を介して神経細胞や肝臓・膵臓の細胞を過剰興奮させ細胞死を惹起する。
山嶋とPiyakarnおよび山下が行う研究においては、「食用油由来のHNEやトランス脂肪酸などの過酸化脂質が、GPR40を介して過剰のCa2+動員による細胞死を惹起することが、アルツハイマー病だけではなく2型糖尿病や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)など、近年増加している生活習慣病の根本原因である」という作業仮説(下図)をサルモデルで証明する。
様々なストレスに応答する生体防御機構によるエネルギー代謝調節機構を解明し、肥満症の予防・治療応用に展開するための研究基盤を確立すること。
肥満状態では、脂肪組織や肝臓に浸潤するマクロファージの割合は炎症惹起性M1が抗炎症性M2に比し優位となる。マクロファージ極性をM1からM2へと導き、慢性炎症を減弱し、インスリン抵抗性、生活習慣病を改善する新規標的分子を検証する。
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